e日記風 独り言

気まぐれ & 気まま & 天邪鬼な老いぼれ技術屋の日々の記録です。
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楽 天 の 商 品

-1211- ボーイングのLiイオン電池
ちょっと古いニュースになってしまうが、去年2月以降何度も取り上げたボーイング787型機のLi イオン電池が異常加熱したり液漏れした件で、今年8月初めに事故調査委で原因が特定されたと報じられた。それによると
「NTSBは、2014年8月に事故調査報告書の原案をまとめた。それによると、電解液が低温で劣化し電気を伝えにくくなる性質があることが分かった。また極度の低温下で電解液中のリチウムイオンがリチウム金属となって析出して正極と負極をつなぎショートした、また瞬間的に不安定な電圧がかかる「過渡現象」、などの複数の現象がトラブルの起因としている。」としており、当初の製造上の欠陥説や制御回路の欠陥説ではなかったようだが、奇しくも上記でリンクした私のコメントでは過去の事故で(リチウム一次電池ながら)電極に金属リチウムが析出して短絡すると言う不具合事例は紹介済みだった。
確かに、今までの多くの使用例は地上の生活圏でのもので、航空機が飛ぶ1万m上空でしかも真冬の気温となれば、電池にとってはまったく新しい環境で-30℃以下ということもあり得るだろうから、低温で電解液の性質が変わるとか、その結果 Li金属が析出すると言う点が見過ごされていたという説明は一応説得力を持つように聞こえる。しかし、航空機にとっては油圧や金属疲労などでもそうした極低温下の条件検討は常識だろうから、電池だけが見過ごされていたという説明にはまだ疑問が残る。しかも電解液や充電の条件によっては電極に Li金属の析出が起きて内部でショートするから外部の安全手段は意味をなさないという問題は私ですら知っていた事で、それは取りも直さず Liイオン電池にとっての致命的なリスクとして認識されているはずで、やはり安全性の検討が不十分と言うことには変わりないと思うんだが。
今後は、なぜそうした点が事前に見抜けなかったのか、信頼性試験条件は十分だったのか、安全性検討システムの問題はどこにあったのか、などという点を追及する必要があるだろう。まぁ、私がここでそんなことをあげつらっても”ごまめの歯ぎしり”のような話だが。

写真はダリアの花。この花も出かけた先で撮影されたもの。この花も昔は良く見たのにこの辺りでは見ない花だ。
Li電池
2014/09/17