ドキュメント履歴: 2018-07-20 初回アップ
元々 何度も書いたように私は電動シェーバーに関しては刃数の少ない機種を選んで使ってきたが、随分前から二枚刃すら市場から消滅したのに、日立が世の趨勢に逆行して1枚刃の最高機種を出したのにビックリして、いつかは使ってみたいと思っていた。 それが発売から間もなくして市場価格が 2万円前後まで低下したのに、その後また 3万円近くまで戻ってしまい購入を躊躇せざるを得なくなってしまったが、新製品の発表で在庫処分に動いたと見えて、再び2018年の春に1万円台にまで低下してきたのでこれに飛びついてしまった。
さて、その使用感などレポートを書こう、書こうと思っているうちに仕事が入って忙しくなってなかなか果たせなかったが、どうしても書かざるを得ない状況に追い込まれてこのページをアップした。
購入して、開梱して充電し踊る心でヒゲを濡らして液体石鹸をつけてウェットシャービングしてみた。最近の私の生活パターンでは2日に一度剃る程度のヒゲだが、どうも期待したほど剃り味は良くない。2日伸ばしたヒゲは何度も往復させないと、剃り跡を手で触ったときの「剃れた」と言うツルツル感が感じられない。しかも、曲率が 15Φと大きくなったせいか、顎の左右の耳の下の凹み部分はどうやっても「ザラザラ」感が残ってしまい、最後は諦めて二枚刃の安全かみそりで剃ることにした。
剃り味に若干失望しながらも、数回使用していてアレッと思ったのは、ヒゲの長いところをいきなりせっかちに剃ろうとしたらモーターが一瞬ロックしたように回転が止まってしまった。
元々、ロータリー式なのでもう一台の Panasonicのリニアスムーサーと比べると格段に静かで、音は頼りなく「もう少し回転速度を上げてもいいのでは?」と思っていたが、止まってしまうとヒゲが挟まれたままで痛いし、やむなく極力「そっと」少しずつ移動させて剃るように心がけていた。
それが、ある時液体石鹸がなくなったので固体石鹸を使って剃っていたら、水分が蒸発したのか石鹸のヌメリが足りなくなって粘度が増した石鹸の泡が回転負荷になったらしくまた止まるようになった。明らかにモーターが「ウン」と言ったまま停止してしまうのでモーターの回転トルクが不足している。
私はメカ設計者ではないが、カメラのフィルム巻き上げモーターなど DCモーターを使用した製品には携わってきたので、これは明らかにモーターのトルクカーブの設定を間違っている、と思わせる症状に出会ってガックリしてしまった。
説明書には「必ず潤滑オイルをつけるように」と言う注意書きがあるが、確かにオイルを塗ると若干回転はスムーズになる。が、やはり濃いヒゲや押付力が少しでも強いと止まることには変わりない。今までの他機種にもシェーバーオイルはついてきたが、然程念入りにつけたことがなかったが、RM-LX6Dの場合欠かさずオイルをつけるような習慣になった。
もう一つ、ガッカリしたのは付属の乾燥機のファンの騒音だ。濡れたままのシェーバーを載せてボタンを押すと、ファンが回転して乾燥させると同時に藍色LEDで殺菌するというものだが、このファンの音がスザマシイという表現が当てはまるほど大きい。寝室においたら寝られないし、居間においたら TVの音が聞こえづらくなるほどだ。洗面所に置いても、5mほど離れた部屋でドアを締めているのに結構な音が聞こえて安眠妨害になるほど。
しかも、他のシェーバーと違い刃にハガネを使用しているせいか自然乾燥だけで 殺菌LEDを照射しないで使い続けると匂いが激しくてどうしようもなくなる。家人は出かける際に玄関でこの音を聞いて「こんな音がしたまま置いておいて大丈夫? 発火とかしない?」と不安がるので留守にする前には乾燥しないことに、かつ夜の間は乾燥しないことにした。
このファンの回転速度も、明らかに設計の狙いがおかしい。もう少し回転数を落として使うべきファンのように思う。
上の方で、内刃を回転させるモーターのトルクの設定が低すぎて強く押し当てないでも石鹸水が乾き始めたような通常使用でも回転が止まってしまうと書いたが、モーターへの電流が不足している割には充電がすぐ切れてしまう。
同時に使用している Panasonicのリニアスムーサーは一回フル充電すると 8回以上使えるが、RM-LX6Dは 4回目の途中で止まってしまう。最初は「またトルク不足か」と思ったが、もう一度スイッチを押しても動かない。「壊れた!」と思って焦ったが、ACアダプタを接続したら回転したので「ぇっ、もう充電切れ!?」とビックリ。回転機構でエネルギー効率は良いはずなのに、しかもトルクは明らかに足りないのにどこでそんなに電流消費してるんだっ! と叫びたくなる。
数日前から、剃っている最中に「パリッパリッ」という感じの異音がし始めた。回転する内刃がどこかに競っているのか?と思うような音だが、もともとトルク不足で、ちょっとでも押し付けすぎると停止してしまうので、「恐る恐る」剃っているような状況で、外刃に余分な力が加わっているとも思えない。
と思いつつ 3日ほどしたら、肌に触れる前にこの音がしたと思ったら、剃り始めでいきなりヒゲが引っ張られて「イテェー」となった。最初は外刃が外れたのか? 内刃と外刃の隙間が大きくなったのか?と思ったが、立て続けに2~3回この現象が出て気づくと何とモーターは回転したままだが内刃が回転していない。RM-LX6Dは動作時に中に青色LEDが点灯するので、一目瞭然で内刃が回転していないのが見える。どうやらヒゲを噛んだまま内刃が止まってしまい、ヒゲが引っ張られたようだ。右の Videoの通り試しにほんの少し外刃を指で押し付けたら、案の定 内刃の回転が止まってしまった。そのたびに例の「パリッパリッ」音がするので、どうも途中のギヤなどリンク機構が外れるか破損してしまったようだ。(後日 リンク機構はギヤではなくてタイミングベルトだと判明。このタイミングベルトの刃が欠けていた)
こんなに壊れ物のように「ソット」使っていたのに、何という・・・・!!!!
自分の製品設計の経験に照らしてみると、余程経験の浅い「イロハ」も分からない設計者が設計し、品質保証も表面上のチェックしかしなかった製品を掴まされた気がする。
この製品で私の中の「モーターの日立神話」は完全に崩れ去った。
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