e日記風 独り言

気まぐれ & 気まま & 天邪鬼な老いぼれ技術屋の日々の記録です。
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-794- シャープの資本提携話
昨日アップした河津桜の木の近くにもう一本早咲きの桜がある。樹銘票には「椿寒桜」と書かれているが、河津桜と比べると花の数は多いが花が小ぶりでちょっと地味な感じの桜だ。そろそろ満開になりそうな勢いだが、樹齢が若く枝ぶりも少ないことも相まって華やかさはイマイチ。
という話題は置いておいて・・・今朝のニュースでは、シャープが台湾の鴻海から 500億円出資を受ける話が頓挫して、新しく韓国のSamsungから 100億円の出資を受ける話を進めているという。10年くらい前までは、液晶では王座にあって Samsungなど寄せ付けなかった感じのシャープが、数年前には液晶TVなどで激しく競合し合うようになり、今度はその競争相手から出資を受けるとは、本当に時の移ろいを感じさせられて驚いてしまう。
考えてみれば、今から40年近く前、2番手~3番手のカメラメーカーに ICとしては低電圧駆動など特殊な仕様のカメラ用アナログICを供給してくれるICメーカーはなかなか無い時代に、技術的興味を示して応じてくれた技術屋さんがいたのはシャープだった。技術が進化して アナログからI2Lに、それがやがてCMOSになってもずーっと長い付き合いをしてきた思い出があるだけに、やるせない思いがする。
その担当してくれた技術屋さんがいたからこそ あんなに長く付き合ったんだけれど、その人も十数年前に退社して個人でIC設計・販売の会社を立ち上げて、今尚孤軍奮闘して会社を維持している。年賀状だけの交流だが、毎年の小さな字の賀状の紙面は技術を無視して利益確保に走りはじめた会社施策に対する辛辣な批判で埋め尽くされている。
その人の設計したカメラ用ICを勉強することで、ICを中心としたシステム設計というものを私が勉強したと言っても過言ではないが、唯一、多分私のアイデアがその人に影響したかも知れないと思うことがある。
それは、大学時代に勉強した「2重積分回路」という原理が非常に考え方として綺麗なことに感激し、いつかは自分でもこんな回路を考えてみたいと思っていたが、入社して 15年位した時に、ふとしたきっかけで私がカメラの自動露出(AE)用のアナログICでその考え方を利用した回路を案出した。そしてその人に基本的な考え方を話して相談しつつ、カメラ用ICとして実現した。そのICを搭載したカメラは最低価格帯のカメラで回路も単純だったが、そのAE性能はそれまでのどの高級機のAE性能よりも優れていた。残念ながら時代はまもなくデジタル制御からデジタルカメラに移行して、そのICが利用されたのは 2機種しか無かったが、その後 その人から、私の考えにヒントを得て AF用のICを設計したと聞いた。そして、それがそのICの設計権利を持って独立するきっかけとなったらしい。
シャープとはかつてはそんな技術に理念を持つことや共感すること、人のつながりなど、技術屋として考えさせてくれる人がいる会社だった。
確かに、数年前に誰しもが遅きに失したと思う中、社運をかけた液晶工場を国内に作ったことが今回の経営難の直接的な原因だろうけれど、シャープが保有する液晶のノウハウや特許、太陽電池のノウハウなど提携によって流出が懸念されるものも多いだけに、一企業の提携話というだけではなく、国として技術ノウハウをどのように保護するのか、私からすれば TPPなどとは比べ物にならないくらい国家の損益に影響する話のような気がする。ルネサスは絶対に外国資本には渡さないという経産省の強い意向があるとかないとかの話もあるようだが、同類の話はゴマンとあるだけに、護送船団を批判されて及び腰になった官主導の経済構造を再び見直さないと手遅れになりそうな気がしてならない。韓国の Samsungだって、国内産業の統廃合が徹底して進められた結果の強者の出現だけに、政治や官界がきちんとした対応をとるか取らないかは重要だ。
2013/03/06