Sony Vaio 修理 : やっぱりSony Timer はあった!

2007/ 3/25

 10日ほど前、友達のそのまた友達のPCがおかしいと友達から相談が来ました。話を聞くと、2台あるNote PCのうち片方(Vaio/Windows XP Home)は起動しないか、途中でシャットダウンしてしまう。もう一方(Toshiba/Windows 2000)はWebでチケットを予約しようとしてもうまく予約できない。で、Windows2000では Webでチケット予約できないのか?というのが質問でしたが、いくら Microsoftがいい加減でもそんなことはあり得ませんし、状況を聞くとプロバイダのサポートに電話していろいろ試してみたけどダメだったと言うので、こちらは Internet Explorerの再インストールが必要になりそうですが、Webで見るとすでに IE6.0はダウンロードが出来ないようです。XPですら問題山積の IE7を 2000に入れたらどうなるかわかったものではないのでそれは薦められません。たぶん私の雑誌付録のCDを漁ればどこかにあるとは思いますが、IE6.0が雑誌付録に付いたのははるか昔の話で、簡単には探せそうにありません。但し、一番の問題は、私が修理したとして、最終確認が私では出来ないことです。”友達の友達”から ネット予約のIDとパスワードを聞いてやってみるか、さもなければ 自分で同じ会員サービスに登録してIDとパスワードを貰わないと確認が出来ません。で、こちらは一線を越えることは自重しました。
 シャットダウンしてしまう方は、こちらもメーカーサポートに電話してレクチャーを受けながら再インストールをやってみたようなんですが、それでも改善しないとのこと。突然シャットダウンという不良の原因は大方 HDDのセクター不良の多発か、D-RAMのコネクタの接触不良だろうと踏みました。HDD装換はメーカー修理に出すと 部品代よりも修理費が高くなるため、多分 4万円近くかかります。で、そちらなら様子を見てもいいかなと思って安受けあいしてしまいました。(^ ^;;;
 問題の Vaioを 宅急便で送ってもらって、まずは HDDの状態を HDTuneで見ると、確かに セクターエラーが1箇所にあるもののそれよりもHDD温度が異常に高いことが分かりました。HDTune 開始前は 55℃程度、開始するとうなぎ上りにあがって最終的には 71℃まで上がってしまいました。 Webで仕様書を確かめると使用している Hitachi の2.5"HDDの動作保証温度は 55℃まで、保証保存温度でも 70℃までですからこれは問題です。温度でセクターの読み取りエラーになるかどうかは別にして、あるいはこの程度のセクターエラーでシャットダウンしてしまうかどうか確信はありませんが、ちょっと激しく使ったらいつまったく立ち上がらなくなってもおかしくない状況です。
 シャットダウンの原因が別にあるとしても、とにかく HDDは交換が必要ですから HDDを外す事にしました。

左の黄色い三角のところ(側面)にあるネジを外して、黄色の矢印の方向にカバーを引っ張るとキーボードの奥のカバーが外れます。

上の写真の三角のところのネジを外すとキーボードが外れます。

クーリングファンと CDドライブの間に、HDDのブラケットがありました。ブラケットを止めている5本のネジを外すとHDDがブラケットごと外せます。

何と、HDDは CPUの次に大きなチップセットと呼ばれるICの上に乗っかっているようです。左側に見える CPUの放熱用クーリングファンとも非常に近いですから、温度が高くなるのもうなずけます。三角の印の所を見るとラバーが HDDのネジ穴の形に凹んでいます。かなりギスギスに押し付けられているようで、発熱する ICの放熱用の空気の通りも悪く、ICの熱が直に伝わってくる最悪の設計です。
 使われていたのは 厚さ 9.5mmの 30GBの Hitachi製 HDDでした。最近のノート用 HDDは 厚さが 8.5mmになっていますから、ブラケットの取り付け穴を削れば 下のICとの距離を 1mmくらい離せるはずです。で、取り付け穴を100円ショップのヤスリで削って 1-2mm広げました。(下の写真の黄色い△マーク)

 準備を整えて、次の日曜日、秋葉原に出かけて 交換用の 40GBの HDDを購入してきて、早速加工したブラケットに取り付けました。

ブラケットの端面から HDDがかなり下がっているのが見えると思います。(赤い矢印の分)
 交換して リカバリーディスクで再インストールして、HDTune で確かめると HDDの温度は 40℃くらいから 50℃以下と安定しています。

これで直ったかな? と思って、翌 火曜日の朝、電源を入れてみると・・・・立ち上がりません。電源ランプが点灯するだけで、HDDも回転しないみたいです。ドキッ としましたが、もう一度電源を切って入れなおすと、何事もなかったかのように今度は立ち上がります。 どこかの接触が悪くなってきており、長時間放置すると接触しなくなっているような感じです。一番疑わしいのは 増設用RAMのコネクタでしょうか。で、RAMキバンの入っているフタを外して、RAMを抜いて接触面を少し柔らかい布でこすってから差し込んで再び電源を入れてみました。

 何と! 今度は何度電源を入れなおしても立ち上がりません。原因は間違いなくこのコネクタの接触不良です。しかし、何度かキバンを外してはクリーニングして、しっかり押さえ込んで試してみても、かなりの確率で不具合が出るようになってしまいました。かろうじて接触していたコネクタが、キバンの抜き差しで接触圧がなくなって完全に接触不良を起こしてしまったようです。これでは「修理」ではなく、「破壊」してしまったようなものです。(^ ^ヾ
問題のコネクタは上の写真の△マークのところです。ケースが邪魔して斜めからしか見えないので確信はありませんが、ルーペでよく接点を観察してみると、確かに接点の高さには 0.2-0.3mm くらい凸凹があるように見えます。これが正規の状態かどうか、あるいはこれが原因かどうかは分かりませんが、0.7mm くらいのピッチで両側あわせて 144Pinもの接点が並んでいる、もともとが非常に精密なコネクタですから、ちょこっとピンセットでつついたくらいでは直しようがありません。接点の修正はあきらめるしかありません。念のためハンダの浮きがないかピンセットでハンダ付け部分を触ってみましたが、残念ながら?浮きはなさそうです。
 0.7mmのピッチで 2列の144Pinというこのコネクタはちょっと交換は困難です。まずハンダを外すのが専用の工具がないとできませんし、あったとしてもケースから完全に取り出さないとできないので、メーカー修理でもやってはくれないと思います。(仮に出来たとして、完全に元に戻らないというリスクがありますし、工賃が 256MBのRAMを購入する(8,000円くらい)よりも高くつくことは請け合いです。)この時点で、いくつかのお茶濁しの選択肢が頭に浮かびます。
  ① 片側のRAMだけで(128MB)我慢してもらう。(インターネットとメールだけなら大丈夫か?)
  ② 128MBの代わりに 256MBの RAMを購入して生き残っている128MBのRAMと差し替える。(他の部品やこちら側のコネクタが不良になると追加投資が無駄になる)
  ③ 当面 この不良の側のRAMキバンをフタで押し付けるなどして接触させ、それでも接触不良になったらその時点で ① か ② を選択する。(効果が疑問?)
 で、当然 ③を試すことにしました。

 写真のように、フタにゼムクリップを少し変形させてバネの代わりをするようにした部品を作り、RAMも発熱するので普通のセロテープではなくポリイミドテープという耐熱性のテープで貼り付けて、このフタを閉めるとRAMキバンがマザーボードの方に押し付けられてコネクタの接点の接触圧不足を補うという想定です。
 で、やってみるとこれが意外とうまくいって、2-3回RAMキバンを抜き差ししてみても現象は再現しません。
 一応、友達経由で状況の説明をして、こうした処置をすることを了解をもらってこの状態で更に再現確認を続けました。
 そして、更に1日休日を経て次の朝、電源ボタンを押しても今度は電源ランプも点灯しないではありませんか???  気持ちはもう暗澹たるもので、「何なんだ・・・・このVaioは!」と、憤りとも落胆ともつかない暗い気持ちです。  10分ほど気持ちを落ち着けて、よく考えてみました。電源ランプも点灯しないということは、電源スイッチの接触不良か、ACアダプタの不良または接触不良ということになります。ACアダプタを抜き差ししてみて現象が改善しないのを確認しているときに、電源ランプと電池充電ランプが薄くオレンジ色に光っているのに気づきました。蛍光灯の下だと気づかないくらいですが、手で蛍光灯を遮ると点灯していることがはっきりわかります。
 もともとこのPCが私のところに送られてきたとき、重量を軽くするためか 電池は抜いて送られてきました。ということは、ACアダプタを抜いたまま放置したら、全く電源がないことになりACアダプタを挿してもリセットスタートがうまく行われていないということもありそうだ・・・・と思いつきました。で、この Note PCのリセットボタンは? と思って探すと、マニュアルには底面のバックアップ電池の近くにリセットボタンがあることがわかりました。
 このとき、ピ~ンと来ました。 電池を抜いていたため、多分 バックアップ電池も完全に空になって電源OFF時に時計や充電制御など電源のコントロールをしているサブのCPUの電源をバックアップしているボタン電池が空になったんだろうと・・・・。 で、ボタン電池を外して電圧を測ると、0.3V ! ピンポ~ン (^ ^)V
 で、リセットボタンをゼムクリップを伸ばしたピンで押してやると、何事もなかったかのように電源が入りました。
 30分ほど前の、胃の痛くなるような気持ちはどこへやら、気を取り直して再び 電源抜き差しして確認を進め、間違いなさそうなので、近くのコンビニで ボタン電池を購入して取替えてこの件も落着。
 やっと、一通り確認が終わり 1日置いて不具合が再現しないことを確認して、その間に原因と対策を説明したカルテ?を書いて無事? 宅急便で送り出しました。 後は、お礼のメールが来るか・・・・さもなければ 再び、不具合のメールが来て、再び暗い何日かを送る羽目になるか・・・・審判を待っているところです。

 うちもヨメさんが、どうしてもと言って Vaioを去年購入したんで他人事ではありません。よく言われる Sony Timer(保障期間が切れると不良になる) って陰口があるんですが本当ですね。 私も今まで メーカー製PCだけで 10機種近いPCを使ってきましたが、HDDの熱にしても RAMのコネクタにしても不良に遭遇したことがありません。 RAMのコネクタは貧弱な部品なのかどうかわかりませんが、見たところ反対側の標準RAMが挿入されている側のコネクタと比べると、ロックの部品が金属でなかったりどうしてもチープには見えます。HDDの実装に関して言えば、熱の影響は全く考えていないといってもいいような設計です。 最近、薄型Note PCが Sonyだけしかなくなってきたので、やむなく次は買おうか・・・と考えていたんですが、やっぱり止めとこう。

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