-131- 耐震強度シュミレーション |
耐震強度計算の結果を差し替えた建築士が国会の偽証罪でも再逮捕された, というニュースが他の大きなニュースの陰でひっそりと報じられました。 耐震強度計算とは正しく設計シュミレーションでありシュミレーションとは、 設計検証の手段に過ぎません。 昔ここで述べたように、シュミレーションは何も創造してくれませんが、 おそらく最近の建築士はシュミレーションを過信しすぎて、コストダウン と言われたら、只単に鉄筋の量だけを減らしたり、安い材料に変えたり してシュミレーションし直すという作業を繰り返しているだけでしょう。 本当のコストダウンの技術というのは、シュミレーションからは生まれない 新しい構造や建築方法を考えて、それをシュミレーションで確かめる という作業になるはずです。 しかし、そう言う新しい構造が提案されたとき、実はシュミレーションに 必要な基礎的パラメータがあるとは限りませんから、建築確認検査で 検査するときはどうするんでしょうね? メーカーの製品開発における設計と品質の役割と責任もそうですが、 技術が進歩する世界では、どうしても検査が役割になってしまうと 技術の進歩を後追いするしかなくなってしまう結果、先進の技術は それを考えた人しか検査できないという事態が生まれます。 検査する人は、設計者以上の能力がない限り「結果がこうです」 と言われれば(例えそれが差し替えであっても)OKせざるを得ない というのが世の常のような気がします。 丹下健三さんの設計したビル(例えば、山手線で東京駅から有楽町に 向かう途中で、左側の窓の外に見える静岡新聞のビル (円筒の周りに四角の部屋が突き出たような)や、代々木体育館など) を建築確認するのは、普通の確認検査機関の人では絶対無理でしょう。 (写真は内容とは関係ありません。花弁の色だと思って写真を撮ったら、 実は肉色の部分は花弁の落ちた後の子房のようです。これも偽装?) |
2006/06/28 |